米国の統合型リゾート(IR)運営企業、ウィン・リゾーツがアラブ首長国連邦(UAE)において、同国初のカジノを含むIR開発プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトの場所はUAE北部のラスアルハイマに位置する人工島アルマルジャン島で「ウィン・アルマルジャン・アイランド」という名称が発表されています。
ウィン・アルマルジャン・アイランドは約1,500室の客室、24のレストランやラウンジ、スパ、ショッピングエスプラネード、劇場など、多彩な施設を備える予定です。また、最新のレーザーやライトショーなど、エンターテインメント要素も充実させて、2027年初頭の開業を目指しています。この統合型リゾートの建設費は約39億ドル(約5,300億円)と見積もられています。
ウィン・リゾーツは、このプロジェクトに先立ちUAEの一般商業賭博規制局(GCGRA)から商業賭博事業者としての免許を取得しました。これにより、ウィン・リゾーツはUAEでカジノを合法的に運営する初の企業となり、UAEにおけるカジノ解禁の歴史的な一歩を踏み出すこととなりました。
UAEにおいてカジノがこれまで解禁されなかった理由は、同国の宗教的および文化的背景にあります。UAEの国教はイスラム教であり、イスラム教においてギャンブルは禁止行為とされています。宗教的な教えに従い、UAEは長年にわたりギャンブルの導入を制限し、国内でのカジノ運営も見送られてきました。
しかし近年、UAEは経済の多様化を推進し、観光業のさらなる発展を目指しています。石油産業に依存していた経済を多角化し、観光、金融、エンターテインメントなど幅広い分野での成長を促進するため、IR事業が注目されるようになりました。特にラスベガスやマカオの成功例を受け、IRの導入が観光産業への新たな刺激となることが期待されています。
UAEは観光業の強化を目指し、世界各地から観光客を誘致する手段として、今回のウィン・リゾーツによるIR開発を進めています。今後、UAEが観光地としての地位をさらに強化し、国際的な観光競争力を高めるための一環としてカジノを含むIRの導入を検討した背景がうかがえます。
このプロジェクトが成功すれば、UAEにおけるIR事業は新たな局面を迎え、ウィン・リゾーツ以外の事業者による参入も期待されるでしょう。IR事業はUAEの経済にも大きな貢献をもたらし、観光客の増加や新たな雇用創出が見込まれます。こうした経済的なメリットがある一方で、宗教的な問題や地域の価値観との調和が求められるため、今後もUAE政府の慎重な対応が続くと予想されます。
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