神奈川県で勤務する2人の県職員が、業務時間中にオンラインカジノを利用していたとして処分を受けた件が波紋を広げています。一人は実際に違法な賭博行為に手を染め、もう一人は業務時間を使って私的なサイトを長時間閲覧していたという内容です。いずれも公共の利益を担う立場としてあるまじき行動であり、県民の信頼を裏切る結果となりました。
処分の対象となった30代の男性職員は、環境農政局に所属していました。2023年11月から2024年5月にかけて複数回にわたってオンラインカジノにアクセスし、実際に金銭を賭けてプレイしていた事実が確認されています。オンラインカジノは国内では違法賭博に該当するものであり、参加すること自体が刑法上の問題を伴います。にもかかわらず職務中にこうした行為を繰り返していたというのは、職業倫理の欠如にとどまらず県庁組織全体の管理体制への疑問も生じさせる重大な問題です。
さらに、問題を悪化させたのが当初この職員が「オンラインカジノは見たこともない」と虚偽の説明をしていた点です。調査が進み、アクセス履歴やデジタル証拠が明らかになったことでようやく事実を認めるに至ったといいます。虚偽の報告は公務員としての誠実義務違反にもつながり、組織への信用を大きく損ねる行動です。こうした行動の重さを考慮し、県はこの職員に対して減給10分の1・6か月の懲戒処分を科しました。
一方もう一人の処分対象は、平塚土木事務所に勤務する50代の男性副主幹です。彼の場合、2024年4月から10月にかけての約6か月間、出勤日のほとんどで毎回1時間以上にわたって私的なウェブサイトを閲覧していたことが判明しました。閲覧内容はニュース、娯楽、ショッピングなどで、業務と無関係な情報ばかりでした。副主幹という職責にありながら、日常的に業務の手を止めて私的な時間を過ごしていたことは規律違反の範疇を超えて職場全体の士気低下を招きかねません。この副主幹に対しては戒告処分が下され、加えて上司である副所長にも監督責任として厳重注意が通知されました。組織内部のチェック機能が働いていなかった点についても、外部からの指摘が相次いでおり上層部の対応にも注目が集まっています。
神奈川県では今回の事案を重く受け止め、再発防止策として職員に対する倫理教育の徹底と、業務用端末のウェブ利用状況の監視強化を掲げています。現在は一定のポリシーに基づいたネットワーク運用がなされていますが、それだけでは限界があるという認識のもと、技術的なモニタリングとあわせて人間的な指導の両輪で職場改善を図るとしています。
今回の不祥事は、単なる個人の過ちとして済ませてはならない問題です。特に、オンラインカジノという違法性の高い行為が職務中に行われていたことの重みは大きく、再発防止策の形骸化を避ける必要があります。公務員には高い倫理観と責任感が求められます。市民の税金によって運営される行政の現場でこうした事件が繰り返されるようであれば、住民からの信頼は確実に失われていくでしょう。神奈川県には、今回の出来事を教訓とし組織内の風土を根本から見直す姿勢が求められます。職員一人ひとりが自分の立場と影響力を自覚し、公共に資する行動とは何かを問い続ける必要があります。今こそ、信頼される県政の再構築に向けて足元からの立て直しが求められています。
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