大阪府・大阪市が推進する夢洲IRプロジェクトは、2024年に大きな進展を遂げました。この統合型リゾート(IR)計画は、日本初の合法的なカジノを含む施設として注目されており、国内外からの観光客誘致と地域経済の活性化を目指しています。
2024年9月、大阪IR株式会社は実施協定第99条の2に基づく解除権を放棄しました。この解除権とは、事業者が一定の条件下で違約金なしに契約を解除できる権利を指し、当初は2026年9月まで行使可能とされていました。解除権の放棄は、プロジェクトの継続を意味しています。これにより、2030年秋の開業予定が現実味を帯びてきました。
2024年9月末には準備工事が開始され、地盤の液状化対策が進行中です。また、2030年の開業に向けた交通インフラの整備も進められており、大阪メトロやJR西日本などがアクセス向上を目指した新しい路線を計画中です。これにより、夢洲への交通利便性が大幅に向上し、国内外からのアクセスが便利になる見通しです。
夢洲IRは、カジノのほか、国際会議場、高級ホテル、ショッピングモール、博物館、フェリーターミナルなど多彩な施設で構成され、ビジネス客やファミリー層、観光客など幅広い層が楽しめる場となる予定です。大阪IR株式会社は、米国のMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス株式会社を中心に構成され、総投資額は約1兆800億円に上るとされています。開業後には年間約2,000万人の来場と約5,200億円の売上が見込まれており、大阪市・府にとっても経済効果が大きいと期待されています。
カジノを含むIR施設の開業に伴い、ギャンブル依存症や治安への懸念もありますが、大阪府・大阪市は依存症対策や治安維持のための対策を強化しています。具体的な施策として、入場制限やリスク対策を行い、施設内での啓発活動も予定されています。日本人の入場には20歳以上の年齢制限が設けられ、入場料は6,000円と定められています。また、マイナンバーカードによる本人確認システムを導入し、個人の利用状況を厳重に管理することで、依存症リスクの低減を図る方針です。入場回数は日本人および日本在住の外国人は週3回、月10回までとされています。
夢洲IRは、経済効果や観光資源としての役割が期待される一方で、市民や関係者の間でさまざまな意見が飛び交っています。2030年の開業に向け、今後の進展にも注目が集まります。
【参考】
【大阪府】大阪IRとは
【JIJI.COM】大阪IR、30年開業へ前進 事業者が「解除権」放棄
【Yahoo!ニュース】大阪・夢洲IRの契約書に潜む大阪市泥沼の危険性
【日経XTECH】日本初のカジノ含む大阪IR実現は「ほぼ確実」、市が運営事業者に用地を引き渡し
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